杜街 diary

仙台・宮城・東北の街歩きと安全・安心に関する雑感

夏休みの宿題どうする?悩んだら仙台市「荒浜」で自由研究&工作にチャレンジ

こんにちは。自由研究と工作と読書感想文と絵日記は苦手だった杜街です。

夏休みがスタートし、小学生の皆さんは自由を謳歌していることでしょう。しかし、2週間後に「宿題どうしよう」とならないよう、計画的に過ごしてくださいね〜。

話変わって・・・東日本大震災から8年が過ぎ、いまの小学1年生は「大震災を知らない世代」なんですね。月日の流れるのは早いものです。

しかし、沿岸部の各地には、あの日から時が止まったままの場所もあります。そのひとつが「震災遺構」です。あえて被災したままの状態を遺して、後世に大震災を伝えようとする取り組みです。

今回、仙台市若林区の荒浜地区に新たに開設された震災遺構を訪れたところ、ぜひ小学生の皆さんに自由研究などで活用してほしい!と思ったので、紹介します。

1. 場所

仙台市若林区荒浜は、仙台市の沿岸部にある地区です。かつては漁村として、大震災前までは農業地区として生活が営まれていました。大震災の大津波で地区は壊滅し、いまは仙台市が「災害危険区域」に指定し、住宅などの建築が規制されています。

東日本大震災を体験した仙台市民は、発災直後に情報が混乱する中、「荒浜壊滅」のニュースで絶望感を味わった方も多かったと思います。私もそうでした。

www.kahoku.co.jp

2. 自由研究①:東日本大震災と荒浜を知ろう

最初に紹介するのは「震災遺構 荒浜小学校」です。

20190804 震災遺構 荒浜小学校@仙台市若林区荒浜

荒浜小学校は、小学校の生徒と地区の住人が屋上に避難し、難を逃れた建物です。大津波は2階の高さまで到達しました。その建物が、ほぼ当時のまま公開されています。

1階の教室は天井まで大津波に沈みました。ボロボロの教室が、大津波の威力を伝えています。

20190804 天井まで津波が達した1階教室@震災遺構 荒浜小学校(仙台市若林区荒浜)

2階は ひざ下の高さまで浸かりました。

20190804 大津波は2階のひざ下まで達した@震災遺構 荒浜小学校(仙台市若林区荒浜)

4階は展示室になっていて、地震が発生してから避難者が救助されるまでを時系列で解説しています。映像資料も放映されていて、防災ヘリから撮影した緊迫した映像と、当時の校長先生や住民の方々の体験談で、大津波からの避難を追体験できます。

20190804 大震災と大津波の時系列記録@震災遺構 荒浜小学校(仙台市若林区荒浜)

大震災が起きる前の美しい荒浜の風景も紹介されています。

20190804 大震災前の荒浜地区@震災遺構 荒浜小学校(仙台市若林区荒浜)

大震災前の荒浜を再現した模型も公開されています。「失われた街 模型復元プロジェクト」の成果物です。砂浜から漁船を漕ぎ出した漁村時代の風景も再現されています。また、模型には住民の皆さんが「ここは○○さんの家」などと書いた札も付いていて、たくさんの人が穏やかに住んでいた街だったことを実感します。

20190804 失われた街 模型復元プロジェクト@震災遺構 荒浜小学校(仙台市若林区荒浜)

東日本大震災、大津波、そして荒浜地区のことを総合的に学ぶのに、まず最初に見学したほうがいい施設だと思います。

3. 自由研究②:大津波の威力を知ろう

次に紹介するのは、新たに整備された「震災遺構 荒浜地区住宅基礎」です。

津波では、住宅の上の部分が破壊され、地面に付いている基礎部分だけが残る状態が多数ありました。

20190804 震災遺構 荒浜地区住宅基礎@仙台市若林区荒浜

基礎部分だけでなく、住宅の中でも頑丈な部分が残っています。

20190804 震災遺構 荒浜地区住宅基礎@仙台市若林区荒浜

これらを見ると、住宅も、平穏な生活も、すべてを流し去ってしまう大津波の威力を実感できます。

また、「建物のどのような部分が残っているのか」を調べることで、住宅にも意外と頑丈な部分があることに気づきます。「災害が起きたとき、住宅の中のどこへ逃げるとより安全なのか」なんて、自由研究のテーマにいいかもしれませんね。

4. 自由研究③:荒浜で海の生き物を見つけよう

次に紹介するのは、「海岸公園センターハウス」です。

20190804 仙台市海岸公園センターハウス@仙台市若林区荒浜

スポーツ施設の管理棟なのですが、この中で荒浜の海岸で拾った「海の生き物」の展示を行っています。種類の多さにビックリします。

20190804 深沼海岸で拾える貝殻などの展示@仙台市海岸公園センターハウス(仙台市若林区荒浜)

自分で実際に浜辺で探してみて、拾ったものの名前をここで調べるのにちょうどいいと思います。また、荒浜だけでなく、北の七ヶ浜や南の亘理でも砂浜で探して、拾ったものを比較してみるのも、自由研究として面白いかもしれません。

5. 工作:荒浜の砂浜を自宅に持ち帰ろう

最後に紹介するのは、海岸公園センターハウスで8月限定開催の「海のアトリエ Olive terrace」です。

20190804 無料で工作を楽しめる「海のアトリエ Olive Terrace」@仙台市海岸公園センターハウス(仙台市若林区荒浜)

これは、貝殻などの材料や接着剤などの工具をぜ〜んぶ準備してくれていて「自由に使って工作してみて!」という企画です。たとえば、こんなものを作ることができます。

20190804 無料で工作を楽しめる「海のアトリエ Olive Terrace」@仙台市海岸公園センターハウス(仙台市若林区荒浜)

これを「無料」で作れるのだから、やってみるしかないでしょう。ただ、ここにあるものだけで作ると他人と似たようなものにしかならないので、自分なりの「ひと工夫」も必要ですね。

6. 最後に

というわけで、甚大な被害に遭った荒浜は、大津波を後世へ伝える地区に生まれ変わろうとしています。また、多くの人に訪れてもらえるよう、楽しい企画も準備されています。ぜひ夏休みに遊びに行ってみてください。

ただ、整備されているのは地区の一部だけで、ちょっと離れた場所は、8年間で背の高さまで育った雑草に覆われた、あの日で時が止まったままの住宅街です。荒浜がかつて人々が生活していた場所だった。これだけは絶対に忘れてほしくないと思います。

20190804 背丈ほどの雑草が茂る集落跡@仙台市若林区荒浜

荒浜は、私も大震災直後から訪れています。当時の様子は、以下の Flickr アルバムでご覧ください。

2011 年 4 月 7 日

flic.kr

2011 年 4 月 24 日

flic.kr